春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

サハラの憧憬と水虫

1501エフゲン

 世の中には水虫という厄介な病気がある。主に足が患部になる。感染すると、かゆくてかゆくてしょうがない。
 本日はそんな水虫と、水虫と闘った勇敢な男のお話です。

 水虫って、誰でもかかるもんだろうか。ぼくは特に水虫持ちだとは思っていないけど、ときどき足の指がかゆくなってしまうことがある。慢性でときどき症状が出る状況ともいうらしいけど、自分では水虫はシロで、ときどき水虫菌がやってきて悪さをするのだと信じている。
 でも世の中にはぼくとちがって年がら年中水虫に悩まされていて、かゆくてかゆくてしょうがない人がいる。お気の毒だと思う。
 他人事とするにはもうしわけないけど、ぼくはそんなにひどいほうでないのでよかったと思うわけだ。
 あぁ、しかしなんたって、ぼくは自分が水虫ではないとこんなに力説してるんだろう。これでは自分が水虫で、それが恥ずかして人にはナイショにしたいのだと大声で叫んでいるに等しいじゃないか。
 しょうがない。ここからは自分が水虫であると誇大な告知をして話を進めることにする。そうだよ、ぼくは水虫だよ。
 特になんの治療もせず、たまたまなおって、ときどき症状が出る。そんな感じでこれまでの人生を過ごしてきたのだけど、今は心強い味方がいる。それは「エフゲン」なる水虫薬だ。お試し版10ml756円。60ml2本セットなら6,458円でお得です。
 水虫薬の宣伝をしたいわけじゃないんだけど、この薬、その生い立ちがなかなかすごい。自動車整備屋さんのおっさんがつくった薬である。
 そのおっさんは今里源太郎さん。残念ながら2012年12月7日に逝去されている。82歳だったとのこと。源太郎さんと水虫についての悪戦苦闘は大源製薬のホームページ「エフゲン誕生秘話」に詳しいし、こちらの物語もおもしろいので、ぜひご覧ください。
 源太郎は、整備用の安全靴を日々愛用していて、おかげですっかり水虫になった。あんまりひどい。しかもいい薬がないってわけで、自分で作ることにした。
 源太郎は自動車屋さんだから、古いクルマの塗料をはがしたりすることもある。いい薬品を使うと、古い塗料がぺろりとはがれる。水虫も、そんなふうにはがれてくれたらいいなぁと、そんな発想で開発が進んだ。
 といっても、白衣を着た化学者ではないわけだから、薬品開発はたいへんだ。まずサンプルの水虫を入手しなければいけない。源太郎は手っ取り早く、自分の足を実験台にした。薬の開発が進んで水虫が治ってしまうと実験台にならないので、水虫の人から洗っていない靴下を借りてきて、また水虫に感染して実験を進めた。
 そしてついに、薬は完成した。この薬を毎日毎日、塗って塗って塗りまくると、水虫の部分はカサカサに角質化して、やがてポロポロとはがれてくる。それでよしとしないで、さらに塗り続けていると、やがて完治するというシナリオだ。ひどい水虫だと、塗ったときにちょっとひりひりする。そういうものらしい。
 源太郎の苦労話としては、薬ができたのち、これを製品として売り出すあたりに最大の難関がある。だって自動車屋さんが作ったクスリなんだから、あやしいことこのうえない。薬の認可というのは、そんなに簡単なものではないから、とってもとっても苦労したらしい。
水虫にエフゲン
 ともあれ、そんな苦労が山ほどあって、今、エフゲンは世の中の水虫を愛する人の手元に届けられているわけだ。
 と、ここまでは水虫とぼくの話だけど、この今里源太郎さんの娘さんというのが、かつて堀ひろこさんとサハラ砂漠の縦断をした今里峰子さん(今は腰山さんになっている)。
 堀さんは日本レーシングマネージメントにお勤めだったこともあって、彼女たちの砂漠の冒険旅行をサポートしたのは菅原義正さんだった。菅原さんは1983年からダカールラリーへの参戦を続けていて、この30年以上にわたって、お正月に日本にいたことがない砂漠スペシャリスト。
 不肖ニシマキは86年から88年まで3年間だけ砂漠通いをした砂漠なんちゃってストだけど、この3年間はやっぱり菅原さんのお世話になりっぱなしだった。87年にはファラオラリーに出場したけど、このときはマシンの製作も菅原さんのワークショップでやったもんだった。
 腰山さんは、砂漠と菅原さんとのおつきあいについて、ぼくの大先輩にあたる。そして今もロードレースの女子チームを耐久レースなどに参戦させるいっぽうで、ご自身もサーキットを走るという元気まるだしはあいかわらず。菅原さんといい、砂漠の先輩たちは元気がよくてかなわない。
 で、なにかのやりとりのときに「水虫薬にも興味があります」と書いたら、ある日うちに水虫薬が届いた。これぞ、かゆいところに手が届くというやつだ。
 使ってみると、水虫の疑いのある部分はカサカサとはがれていって、おもしろい。風呂上がりに、ぺたぺたと塗るのが楽しくなる。
 しかししかし、仕事が忙しくて(いいわけ)風呂に入るのをさぼると、なんとなく薬も塗りにくい雰囲気があって、薬もさぼる。そうすっと、風呂には入らないわ、薬は塗らないわで、症状はちょっとひどくなる。
 腰山さんに聞いてみた。返事は、清潔にして塗ったほうがいいけど、塗らないより塗ったほうがよろしい、ということだった。まずは塗るべし。
 製品には、簡単なハケがついている。このハケでぺたぺた塗る。しかして、水虫菌のついた足に塗るのだから、このハケにも水虫菌がついているにちがいない。
 薬を使うのがひとりでなく、家族みんなだったりすると、他人の水虫菌がついたハケなんか使いたくないだろうなぁと、よけいな心配もしたくなる。
 この点も聞いてみた。「ハケについた水虫菌ごときで水虫が他人に感染ってしまうようだったら、クスリの意味がないから、ハケは共用しても大丈夫。でも気持ちが悪かったら別々に使ってね」、ということだった。
 なるほどー。今ホームページを検索してみたら、ハケもちゃんと別売りしてた。3本組216円(送料別)だった。
 水虫にお悩みの方、だまされたと思って、試してみたらいかがでしょう。

大源製薬
水虫薬エフゲン