春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

SSDTその1日目

 始まりました。SSDT。初日は(というか、毎日同じだけど)30セクション。12のグループにセクションが設定されていて、グループを丸ごと見落とすと失格となってしまう恐れもあり。昔はエスケープも認められていなかったストイックなトライアルが、SSDTだ。
 初日は、3人のオールクリーンがいた。サム・ロッドゲート(イギリス・ベータ)、サム・ハスラム(イギリス・ガスガス)、そしてドギー・ランプキン(イギリス・ベータ)。こういう場面になると、やっぱりでてきます、トライアルキング。
 斎藤晶夫くんは43点、ざっと115位。


 3人のオールクリーンに続いて1点減点は4人。スコットランド人ギャリー・マクドナルド(シェルコ4スト)、ウェイン・ブレイブロック(イギリス・ガスガス)、ジェイムス・ダビル(イギリス・モンテッサ)、マイケル・ブラウン(イギリス・ベータ)。念のため、スコットランドはいわゆるイギリスなんだけど、スコットランドの人は、自分の国はスコットランドと思っている。イギリスって国は、スコットランドという国、ウェールズという国、北アイルランドという国、イングランドという国が手を取り合って、連合王国として存在している。なかなかめんどくさいんだけど、この場合、SSDTだけにスコットランド人だけスコットランド人として別枠に考えてみた。ちなみにイギリスという国名は日本語で、イギリスなんて単語は世界のどこでも通じない。
 さて毎度のことだけど、世界選手権のトップランカーと、イギリスの中堅選手とが四つに組んでいる構図がおもしろい。では、セクションが簡単なのかというと、簡単とかむずかしいという範疇を超えている。SSDTはどんなトライアルなのかというより、SSDTなのである、というのが正解。そんな説明じゃわかんないといわれるかもしれないけど、それなら出場してみてください。何度も取材に出かけてSSDTについてすっかりわかったつもりになっていた杉谷真も、いざ出場してみたらびっくり仰天のことが多かったという。SSDTは、でてみないと、わかんない(らしい)。
 減点2の選手も4人。シャウン・モリス(イギリス・ガスガス)、ダン・ソープ(イギリス・ガスガス)、サム・コナー(イギリス・ベータ)、クレイグ・ロビンソン(イギリス・ガスガス)。ソープは、トライアル創世期に活躍したデイブ・ソープさんの息子さん。10年くらい前までは、親子で参加していたけど、さすがにお父さんは現役でSSDTに参加するのはつらくなってきたらしい。親子とも、ランプキン家とほぼ同じか少し上の年代だから、息子だってもういい年だ。コナーは、覚えている人いるだろうか。ごっつい体形で、あんまり器用なマシンさばきをしない選手だった。チーム・ランプキンに所属して世界選手権を戦ったこともある。世界選手権を引退して、今はベータに乗っているらしい。イギリスでは、ランプキン一族の勢力はやっぱり圧倒的だ。ロビンソンさんは、どこの誰だかわかりません。実はイギリス国内で強い選手なのかもしれないけど、ぜんぜん無名の選手でも、SSDTではひょろりと上位に入ることがあるから、あなどれない。
 3点の選手も紹介しましょう。これも4人いる。ベン・ヘミングウェイ(イギリス・ベータ)、リアン・ウォルカー(イギリス・ガスガス)、ジョルディ・パスケット(スペイン・ベータ4T)、グラハム・ジャービス(シェルコ4T)。ベン・ヘミングウェイも、ランプキン一族の重要人物のひとり。お父さんは、やっぱりトライアル創世期に活躍した人で、トシ西山さんの「これがトライアルだ」では軽量マシンに乗せたらヘミングウェイの右に出る者はいない、と紹介されている。ウォルカーさんってのは、この人もどこのだれだかわかりません。さてパスケット。ここでようやくイギリス人以外のライダーが登場した。パスケットはずいぶん以前からSSDTへの参加を続けていて、そろそろ勝ってもおかしくないんだけど、優勝するには、極限の集中力を6日間にわたって維持しなければいけないから、なかなかたいへん。せめてベスト外人賞みたいなのを獲得できればいいですね。そしてグラハム・ジャービス。ジャービスも4ストロークのシェルコに乗っている。
 4点以降は、気がついた人だけ並べてみます。
 減点4、16位にジェイムス・ランプキン(イギリス・ベータ)。26位、減点11にベンのお兄さんのダン・ヘミングウェイ(イギリス・ベータ)。同じく減点11にアレックス・ウイグ(イギリス・モンテッサ)。
 アモス・ビルバオ(スペイン・モンテッサ)は12点。なにがあったか、8点のタイムオーバー減点がある。ユースクラスでチャンピオン狙いのジャック・シャロナー(イギリス・ベータ125)は13点。ジュニアクラスに参戦中のロス・ダンビー(イギリス・ガスガス)も13点。
 ドギーの弟、ハリー・ランプキン(イギリス・ベータ)は15点で39位。
 ところで、女子ライダーにケティ・サンターというのがいて、サンター姓のライダーが何人かSSDTに出ているのはずっと知っていたけど、前述「これがトライアルだ」を見ると、70年代のトライアルライダーで、リチャード・サンターというのがいる。もしかしたら今いるサンターさんたちは、このサンターさんの子孫かもしれない。イギリスは、みんな親子代々トライアルをやっている国なのだろうか。で、21点はジョン・サンター(イギリス・モンテッサ)。リチャードさんとの血縁関係は不明。さらに24位にはマーク・サンター(イギリス・スコルパ)。
 27点でナイジェル・バーケット(イギリス・スコルパ)、28点でミケーレ・ボシ(イタリア・ベータ)。ミケーレは、タレスのチャンピオン時代にメカニックを務めたリカルド・ボシの息子で、自身も世界選手権に挑戦したが、ぜんぜん芽が出ず。今はベータのサポートチームのボスとして手腕を振るっている。
 32点はジェイク・ミラー(イギリス・ベータ)。FIMの広報官で、もてぎにもカメラをぶら下げて何度もやってきた。トライアルをやっているところは見たことがないけど、この成績はすごい。85位くらい。杉谷の目標はずっと100位以内だったけど、こりゃ、杉谷はジェイクに頭が上がりませんね。いつもプレスルームで冗談を言い合っているけど、これからはもっと尊敬するようにします(といっても、英語の冗談は半分以下しかわからない)。
 そして43点、我らが斎藤晶夫(日本・モンテッサ)。初出場で115位くらいなら、まず立派なものだ。そしてうれしいことに、イリス・クラマー(ドイツ・スコルパ)より上位にいるではないか。イリスは49点だった。でもこの点差は、まだまだないに等しい。6日後に、どうなっているかなぁ。
 女子世界選手権ではイリスに離されているけど、SSDTではぴたりとマークしているのがマリア・コンウェイ(イギリス・ベータ)。53点。さらに56点でドンナ・フォックス(イギリス・シェルコ)。そして63点でケティ・サンター(イギリス・ガスガス)。コンウェイとサンターでは、世界選手権では5位と15位くらいの差があるんだが、SSDTではその差はぐーんと縮まる。いわゆる今風のトライアルテクニックとは別のテクニックが、SSDTでは必要になるからだと思われる。
 エントリーリストから一応紹介しておいたボイタさん(スウェーデン・シェルコ)は88点で221位。タイムオーバー減点なしってのが素晴らしい。
 もうひとりの日本人の猪倉さんは146点。17点のタイムオーバー減点がある。順位は265位。でも、無事に走っていることが、素晴らしい。アクセルを握っていれば目的地に到着させてもらえる地形じゃないから、SSDTの完走はほかの完走とはらべるがちがうわけだ。
 クラス別では、斎藤晶夫は13位。晶夫くんの43点に対して、トップは13点。ユースを走るジャック・シャロナーがトップだ。
 おっと、重大な見落としがありました。エマ・ブリストウ(イギリス・ガスガス)を忘れてた。この人、1日目は女子クラスのトップだ。しかも減点38。晶夫くんの上を行ってます。すごい。女子クラスはこの他もうひとり、レベッカ・レニソン(イギリス・ベータ)というのがいる。彼女は減点95点。
 というわけで、1日目の様子でした。