春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

止まらないトニー・ボウ、6勝目

07イタリアのボウ

 イタリアGPで、トニー・ボウはまた勝った。今シーズン7戦のうち、アダム・ラガに僅差で破れた日本GPの2日目以外、負け知らずということになる。
 この日、2ラップ目に限っていえば、ボウはトップではなかった。ボウ21点に対してラガは14点、そして藤波はたった10点で2ラップ目の15セクションをこなしてきた。しかしそのがんばりも、時すでに遅しだった。ボウは1ラップ目の走りが抜群だった。ラガが26点、藤波が34点をマークするのを尻目に、ボウの1ラップ目の減点は、たったの12点だった。

 2007年イタリア大会は、ミラノからきたに40キロのエルバという町での開催だった。有名な観光名所であるコモ湖のすぐ近所だ。セクションは、とても素晴らしいものばかりだった。ほとんどが谷沿いに設定されていて、滑りやすい岩々、トリッキーなラインを提供する斜面が盛りだくさんだ。
 試合の序盤、ボウは絶好調だった。ものすごく滑る最後の登りでことごとく前進をストップさせられる第2セクションをただひとりクリーンするなどしてライバルに差をつけていく。
 第7セクション。ここはボウも失敗し、藤波のみが出口までたどりついた難セクションだった。藤波のここでのスコアは2点。2ラップ目も含めて、このセクションは全員が5点だったから、藤波の活躍が光った。藤波は、2ラップ目にはここをクリーンして追い上げ劇を展開したのだった。
 ボウはこの後10セクションでもミスを犯して5点。しかしボウの1ラップ目のトータルは12点。まったく信じられない完璧なトライアル。もちろんライバルには圧倒的な差をつけた。
 藤波は最後にふたつ用意されていたインドア風セクションの最初の一つで5点。これは藤波にとって、不幸なものだった。藤波はここをクリーンしていたのだが、厳しすぎるオブザーバーは、ほんのわずかな後輪の動きでバックを宣告した。この5点は厳しく、勝敗にも影響を及ぼすものだったが、ジャッジは変わらなかった。ボウのトップは安泰、2位はラガで26点、藤波は34点で4位につけた。ラガと藤波の間に入って3位となったのは、スコルパ4ストロークに乗るマルク・フレイシャだった! フレイシャのスコアは31点だった。

07イタリアの藤波
藤波貴久

 2ラップ目に入って、今度は藤波が絶好調。藤波のスコアには、1点と2点しかない。それ以外は全部クリーンだ。2ラップ目の藤波の10点は、この日のベストスコアとなった。だが、それでも足りなかったのだ。
 藤波の2位争いのライバル、ラガも2ラップ目に高度なライディングを展開、藤波よりわずかに減点の多い12点をマークした。ラガと藤波の差は、最終的にはたった3点。しかしラガは2位に、藤波は3位ということで決着した。
 2ラップ目、ラガと藤波の快進撃で、ボウの心中も穏やかではなかった。このラップ、1ラップ目の絶好調とは裏腹、ボウはなんと4個の5点を叩いてそのスコアは21点。しかしそれでも、1ラップ目の貯金がたっぷりあったので、6勝目をマークするにいたったわけだ。
 フレイシャは、再び1ラップ目のようなスーパーラップとはならず、平凡な2ラップ目のスコアで順位は6位に落ちてしまっていた。2ラップを通じて好調を維持するというのが、いかに困難かということだ。
 フレイシャに代わって、トップ5に進出してきたのが、いつもの顔ぶれ、カベスタニーとランプキンだった。

07イタリアの小川
小川毅士

 小川毅士は1ラップ目から不調で、今回はリタイヤということになっている。

 ジュニアクラスでは、またもブラウンが勝利した。ブラウンもまた、7戦中6勝をマークしている。
 ユースクラスは異変が起こった。アメリカの16歳、パトリック・スメイジが優勝したのだ。彼にとっては、これが初めてのヨーロッパラウンドでの戦いだった。スペイン、フランス、イタリア人に続いて、アメリカが第4の勝利者輩出国となった。
 今回の世界選手権は、主催者発表によると、観客は12,000人の多くを数えたという。


世界選手権
Pos. Rider Nation Machine Lap1 Lap2 Time Total Clean
1 トニー・ボウ SPA Montesa 12 21 2 35 21
2 アダム・ラガ SPA GasGas 26 14 2 42 17
3 藤波貴久 JPN Montesa 34 10 1 45 13
4 ドギー・ランプキン GBR Montesa 40 28 0 68 14
5 アルベルト・カベスタニー SPA Sherco 42 27 0 69 12
6 マルク・フレイシャ SPA Scorpa 31 43 0 74 10
7 ジェイムス・ダビル GBR Montesa 36 47 0 83 10
8 ジェロニ・ファハルド SPA Beta 51 37 0 88 10
9 ダニエル・オリベラス SPA Sherco4T 51 35 4 90 9
10 クリストフ・ブルオン FRA Sherco4T 55 52 2 109 3
11 ジョルディ・パスケット SPA Beta4T 61 51 0 112 5
12 ジェローム・ベシュン FRA Beta 61 62 1 124 3
13 ミケーレ・オリッツィオ ITA Scorpa 60 64 0 124 2
14 ダニエル・ジベール SPA Montesa 66 62 0 128 1
15 フランチェスコ・イオリタ ITA Sherco 63 68 0 131 1
16 ダニエレ・マウリノ ITA Beta 70 69 0 139 0
17 マルティン・クロウスティック CZE Beta 73 67 0 140 0
18 ヘンリ・ヒマネン FIN Sherco 68 75 0 143 1
R 小川毅士 JPN Montesa
R ファビオ・レンツィ ITA Montesa

ワールドカップ・ジュニア
Pos. Rider Nation Machine Total Clean
1 マイケル・ブラウン GBR Beta 13 22
2 ロリス・グビアン FRA Sherco 22 14
3 アンドレア・バカラッティ ITA Montesa 35 14
4 アレックス・ウイグ GBR GasGas 56 12
5 ギュラーム・ラニエル FRA GasGas 59 12
6 サム・ハスラム GBR Scorpa 61 9
7 リー・サンプソン GBR Sherco 61 6
8 マテオ・グラッタローラ ITA Sherco 69 8
9 ヨッヘン・シェーファー GER Montesa 69 6
10 ジュリアン・アルヌー FRA GasGas 75 4
11 フレデリック・ヨハンソン SWE GasGas 79 5
12 エミル・ジレンハマル SWE GasGas 92 6
13 リチャード・エルウッド GBR Sherco 102 2
14 ライア・サンツ SPA Montesa 103 5
15 マンドン・モイ NOR Beta 110 1

ユース125選手権結果

Pos. Rider Nation Machine Total Clean
1 パトリック・スメイジ USA Sherco 11 25
2 アルフレッド・ゴメス SPA GasGas 17 21
3 ロス・ダンビー GBR GasGas 33 21
4 アレクシ・セルバンテス FRA Sherco 33 15
5 ローレン・モレル FRA Beta 36 15
6 ダビド・ミラン SPA Sherco 39 16
7 アレキサンドレ・フェラー FRA Beta 44 17
8 ジャック・シャロナー GBR Beta 47 12
9 アントニオ・アルフォンソ SPA GasGas 50 12
10 マリヤン・グリーベル GER Future 59 9
11 マルカス・エクハルド GER Beta 68 7
12 フランセスコ・モレ SPA GasGas 69 8
13 ベノ・ダニコート FRA Beta 69 8
14 ポウ・ボテーラ SPA Sherco 69 7
15 リカルド・カタネロ ITA Future 72 7

世界選手権ランキング

Pos. Rider Points
1 トニー・ボウ 137
2 アダム・ラガ 120
3 藤波貴久 103
4 ドギー・ランプキン 88
5 アルベルト・カベスタニー 79
6 ジェロニ・ファハルド 65
7 ジェイムス・ダビル 62
8 マルク・フレイシャ 60
9 ダニエル・オリベラス 35
10 クリストフ・ブルオン 26
11 ジェローム・ベシュン 22
12 黒山健一 17
13 ダニエレ・マウリノ 17
14 小川友幸 15
15 シャウン・モリス 13
16 ジョルディ・パスケット 12
17 小川毅士 12
18 野崎史高 10
19 渋谷勲 8
20 タデウス・ブラズシアク 4
21 ダニエル・ジベール 4
22 ミケーレ・オリッツィオ 3
23 チャビー・レオン 2
24 フランチェスコ・イオリタ 1