春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

日本GPを検証する2007

 毎年やってますが、今年もウイダー日本GPのラップチャートを作ってみました。
 各セクションまでのトータル減点の順に並べてあります。各セクション、名前の頭についている数字が、そのセクションでの減点数です。横幅が広くなりすぎてみにくいので、その時点でのトータル減点は省きました。同減点の場合は最終結果の順に並んでます。
 最終結果を見ると「それぞれ妥当な位置につけている」と思われますが、途中経過ではいろんな順位変動があったのがわかります。ロードレースやモトクロスなら抜きつ抜かれつの大接戦のはずが、トライアルはこうやってあとで検証してみないと、その抜きつ抜かれつが見えにくい。ちょっともったいないと思います。もてぎでは、iモードで速報を流しているので、その点うれしいですけども。




ラップチャートが、別ウインドウで開きます。サイズ調整してご覧ください。




 今回は、トップのふたりは独走状態でしたから、このチャート上ではあんまりおもしろみがありません。波乱万丈なのは、やはり藤波貴久です。第3セクションの5点で順位を落としていますが、これはまだ序盤だし、挽回は可能だったと思います。チャート上では、第4セクションでの5点がかなり響いているのが見てとれます。ここはトップグループはみな抜けていっていますから、その後はじりじりとしか追い上げができません。
 この日の藤波は、追い上げ中にも細かい減点をしています。調子がいいとはいえない状態だったと思いますが、それでも試合を形成する姿勢などはさすがにチャンピオン経験者。1ラップ目後半、きちんと3位につけています。ひとつひとつの減点で一喜一憂することなく試合を戦えば、必ず来るべきところに来る。しかしそれが、いかにむずかしいことなのかは、他のライダーの浮き沈みを見ればわかります。
 さらに、最終セクションでのカベスタニーとの攻防も、今回の藤波の活躍のハイライトです。12、13セクションで連続5点とならなければ3位はもっと簡単に手に入ったともいえますが、終盤の連続5点で試合を投げなかった結果が、3位表彰台につながったわけです。
 残念だったのは田中太一。2ラップ目序盤に負傷して、残りは5点のパンチをもらうだけになってしまいましたが、第1で5点になりつつも、第4セクションなどを含めて確実にセクションを出ていきます。この選手の場合、かなりの難セクションでいきなり真価を発揮するので、5点を連発していても浮上してくる可能性は大なのです。
 なぜかトップスタートとなり、ラインを作りながらトライしていかなければいけなかった渋谷勲も、1ラップ目に苦労したひとり。真価を発揮しはじめたのは2ラップ目の中盤からですが、そのときには前半の減点がかさみすぎていて、逆転は不可能だったことがわかります。
 美しい走破力を持ちながら、くやしい5点で順位を下げていくパターンが多いのが野崎史高。このパターンは日本人ライダーには多いようです。小川毅士なども、このパターンです。
 黒山健一は、本人もコメントしているように、1ラップ目が悪い。わずかに集中力が欠けるだけで、こういう結果が出てくるわけです。逆にいえば、ボウやラガの集中力たるや、ライバルも脱帽というすごさです。
 今回、唯一タイムオーバーを食ったのが1ラップ目のランプキン。最終セクションで失敗して指を負傷。その後の展開にも影響を与えますが、チャート上では、唯一7点のタイムオーバーが痛手になりました。
 小川友幸も、今回はもうちょっと上を狙えた内容でした。

 2日目、藤波の鬼門はやはり第4セクション。第2セクションでの唯一のクリーンは大金星だったから、第4セクションがクリーンだったらと悔やまれますが、それより、やはり中盤4位に落ちたところから表彰台に復活した粘りを評価するべきだと思います。
 2日目のハイライトは黒山のさえた走りと、負傷して満足に走れないランプキンの粘りです。ランプキンはケガをしての戦いだったので、5位を狙って走っていたとのこと。以下、インタビューではなく、後片づけ中に雑談をしたときのランプキンのコメント。こんなにフランクに自分の試合を語るランプキンというのも、実は初めてでした。
「右手がばんばんに腫れちゃって、たいへんよ。日曜日はフロントブレーキを人差し指で操作できなかったから、4本指を使った。親指の脱臼で折れてはいないから、次回までには復活できるように期待しているよ。日曜日は、5位になれればいいなと思っていたけど、ファハルドが13セクションを1点で抜けたのを見て、こりゃ参ったなぁと思った。そしたら最終セクションで黒山サンも1点で抜けてるじゃないか。もう、みなさんありがとうという感じだったよ」
 黒山は、今回はプレッシャーのない戦いゆえに、思いきりよくトライする姿があちこちで見られましたが、それが最後に裏目に出て5位を失いました。でもやはり大金星でしょう。
 小川毅士は、その実力からするともっと上位につけてほしいといつも思うけど、2日目に関しては、後半は粘った結果が出て、ポイント獲得となりました。