春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

パーフェクト・ボウ、5連勝

07もてぎボウ

 トニー・ボウがまた勝った。今年のパターンが、もてぎでも見事に再現された。ボウが圧倒的に強く、これに詰め寄れるのがアダム・ラガ。藤波貴久やドギー・ランプキンはこれに遅れてセカンドグループを形成してしまうのが、今シーズンのパターンになりつつある。もちろん、藤波(やランプキン、そしてカベスタニーなど)にとって、このままでいいわけはない。なんといってもボウは開幕5連勝。ひとつも負けがないのは、得意とするインドアよりも、ずっと好成績なのだ。


 藤波は、絶好調とは言えなかった。ふかふか斜面の第2セクションで3点、コンクリートのだんだんを越えていく第4セクションで5点と、ボウがすべてのセクションをクリーンしていく一方で、藤波は減点していく。この間、ボウはあわやオールクリーンかという勢いで、最終15セクションで1回足をついただけ。信じられない好調ぶりだ。藤波はさらに細かい足つきや5コーナーの草原での5点があって、1ラップ目を終えた時点では、ボウに21点差と大差をつけられてしまった。しかしそれでも3位。藤波が特に不調というより、ボウとラガが飛び抜けているということかもしれない。

07もてぎ藤波

 2ラップ目、ボウの好調ぶりは変わらない。ただ1ヶ所、11セクションで5点をマークしているが、これはカードにほんの少し触れたということでの5点。1ラップ目に1点ついた最終セクションもクリーンしているから、限りなくオールクリーンに近い。
 ラガは、2ラップ目第2セクションの5点で、ボウ追撃の手綱がゆるんだ。最終的には両者は5点差だから、充分逆転のチャンスもあったのだが、ほとんどミスのないボウを相手では、ボウも2位をキープするのが精いっぱいだった。

07もてぎラガ

 藤波は、2ラップ目に入って調子をともり度すものの、ラップ後半の連続5点で一時は3位の座をカベスタニーに明け渡してしまう。その差はわずか1点。最終セクションでは、先に入ったカベスタニーが最後の難関から叩き落ちて5点になると、藤波は渾身の力を込めてここを3点。1点差でサイド3位の座を取り戻すことに成功した。減点数にして、なんとボウの7倍、ラガの3倍強という大差とはなったが、表彰台の一角を獲得して一息をついた。
 1ラップ中盤まで藤波と表彰台争いをしていたドギー・ランプキンは、岩盤の12セクションでマシンを投げ、鉄の杭にホイールをからませてしまった。スポークを折ってホイール交換しているまに時間がすぎ、1ラップ目に7点のタイムオーバー。減点も12セクションからの4セクションで16点と、後半1/4で7割の減点を加算してしまった。これで乱れたペースは取り戻されることなく、今季最悪の6位。
 逆に序盤は乱れたライディングを続けていたアルベルト・カベスタニーは、徐々に調子を上げてきて、最後は藤波と表彰台を争うところまで復帰した。藤波には敗れるも、4位は今季最高位となった。

07もてぎ友幸
07もてぎ健一
07もてぎ野崎
07もてぎ渋谷

左から小川友幸、黒山健一、野崎史高、渋谷勲

 藤波以外の日本人では小川友幸が8位。「ライディングは最悪」との自己評価だが、それでもこのポジションは実力のたまもの。9位が黒山健一。黒山は全日本の際の集中力あふれる走りとはほど遠かったが、2ラップ目に持ち直してこのポジション。「ヤマハエンジンのトップになりたい」という当初の目標は達成した。序盤は絶好調だった野崎史高は、後半にテープを切るなどのミスが目立って10位。フレイシャ、オリベラスをはさんで、13位に渋谷勲。渋谷は昨年のポイントランカーなのに、なぜか世界選手権組のトップスタートとなり、ラインのないセクションに苦しんだが、2ラップ目に本来の実力を垣間見せてこのポジションに滑り込んだ。小川毅士は強豪の日本勢に押し出されるように16位と無得点。田中太一は2ラップ目序盤に負傷を喫したようで、前半の好調をふいにしたばかりか、全日本シーズンの後半も心配される結果となった。

世界選手権
Pos. Rider Nation Machine Lap1 Lap2 Time Total Clean
1 トニー・ボウ SPA Montesa 1 5 0 6 28
2 アダム・ラガ SPA GasGas 4 7 0 11 24
3 藤波貴久 JPN Montesa 22 20 0 42 16
4 アルベルト・カベスタニー SPA Sherco 26 17 0 43 16
5 ジェロニ・ファハルド SPA Beta 24 30 0 54 13
6 ドギー・ランプキン GBR Montesa 23 33 7 63 14
7 ジェイムス・ダビル GBR Montesa 33 36 0 69 7
8 小川友幸 JPN Honda 38 34 0 72 8
9 黒山健一 JPN Yamaha 50 28 0 78 6
10 野崎史高 JPN Yamaha 42 45 0 87 7
11 マルク・フレイシャ SPA Scorpa 48 40 0 88 6
12 ダニエル・オリベラス SPA Sherco4T 47 52 0 99 7
13 渋谷勲 JPN Beta 58 41 0 99 2
14 クリストフ・ブルオン FRA Sherco4T 53 57 0 110 1
15 ジェローム・ベシュン FRA Beta 62 50 0 112 2
16 小川毅士 JPN Montesa 59 54 0 113 2
17 ダニエレ・マウリノ ITA Beta 59 55 0 114 2
18 田中太一 JPN Honda 48 68 0 116 4
19 井内将太郎 JPN Beta 66 65 0 131 0
20 フランチェスコ・イオリタ ITA Sherco 70 63 0 133 1
21 坂田匠太 JPN GasGas 71 66 0 137 0
22 宮崎航 JPN Beta 73 69 0 142 0
23 砂田真彦 JPN Honda 71 71 0 142 0
24 小森文彦 JPN Honda 73 70 0 143 0
25 岡村将敏 JPN Scorpa 75 69 0 144 0
26 竹屋健二 JPN Honda 73 71 0 144 0
27 西元良太 JPN Scorpa 73 71 0 144 0

ワールドカップ・ジュニア
Pos. Rider Nation Machine Total Clean
1 マイケル・ブラウン GBR Beta 10 26
2 アレックス・ウイグ GBR GasGas 13 24
3 マテオ・グラッタローラ ITA Sherco 33 17
4 ロリス・グビアン FRA Sherco 39 17
5 ニコラス・ゴンタール FRA GasGas 42 16
6 サム・ハスラム GBR Scorpa 42 15
7 ライア・サンツ SPA Montesa 64 8
8 柴田暁 JPN Honda 70 10
9 斎藤晶夫 JPN Honda 75 6
10 野本佳章 JPN Beta 80 6
11 永久保恭平 JPN Sherco 94 0

ユース125
Pos. Rider Nation Machine Total Clean
1 アルフレッド・ゴメス SPA GasGas 11 23
2 ロス・ダンビー GBR GasGas 21 20
3 アレクシ・セルバンテス FRA Sherco 47 16
4 マリヤン・グリーベル GER Future 85 5