トニー・ボウがまた勝った。今年のパターンが、もてぎでも見事に再現された。ボウが圧倒的に強く、これに詰め寄れるのがアダム・ラガ。藤波貴久やドギー・ランプキンはこれに遅れてセカンドグループを形成してしまうのが、今シーズンのパターンになりつつある。もちろん、藤波(やランプキン、そしてカベスタニーなど)にとって、このままでいいわけはない。なんといってもボウは開幕5連勝。ひとつも負けがないのは、得意とするインドアよりも、ずっと好成績なのだ。
藤波は、絶好調とは言えなかった。ふかふか斜面の第2セクションで3点、コンクリートのだんだんを越えていく第4セクションで5点と、ボウがすべてのセクションをクリーンしていく一方で、藤波は減点していく。この間、ボウはあわやオールクリーンかという勢いで、最終15セクションで1回足をついただけ。信じられない好調ぶりだ。藤波はさらに細かい足つきや5コーナーの草原での5点があって、1ラップ目を終えた時点では、ボウに21点差と大差をつけられてしまった。しかしそれでも3位。藤波が特に不調というより、ボウとラガが飛び抜けているということかもしれない。
2ラップ目、ボウの好調ぶりは変わらない。ただ1ヶ所、11セクションで5点をマークしているが、これはカードにほんの少し触れたということでの5点。1ラップ目に1点ついた最終セクションもクリーンしているから、限りなくオールクリーンに近い。
ラガは、2ラップ目第2セクションの5点で、ボウ追撃の手綱がゆるんだ。最終的には両者は5点差だから、充分逆転のチャンスもあったのだが、ほとんどミスのないボウを相手では、ボウも2位をキープするのが精いっぱいだった。
藤波は、2ラップ目に入って調子をともり度すものの、ラップ後半の連続5点で一時は3位の座をカベスタニーに明け渡してしまう。その差はわずか1点。最終セクションでは、先に入ったカベスタニーが最後の難関から叩き落ちて5点になると、藤波は渾身の力を込めてここを3点。1点差でサイド3位の座を取り戻すことに成功した。減点数にして、なんとボウの7倍、ラガの3倍強という大差とはなったが、表彰台の一角を獲得して一息をついた。
1ラップ中盤まで藤波と表彰台争いをしていたドギー・ランプキンは、岩盤の12セクションでマシンを投げ、鉄の杭にホイールをからませてしまった。スポークを折ってホイール交換しているまに時間がすぎ、1ラップ目に7点のタイムオーバー。減点も12セクションからの4セクションで16点と、後半1/4で7割の減点を加算してしまった。これで乱れたペースは取り戻されることなく、今季最悪の6位。
逆に序盤は乱れたライディングを続けていたアルベルト・カベスタニーは、徐々に調子を上げてきて、最後は藤波と表彰台を争うところまで復帰した。藤波には敗れるも、4位は今季最高位となった。
藤波以外の日本人では小川友幸が8位。「ライディングは最悪」との自己評価だが、それでもこのポジションは実力のたまもの。9位が黒山健一。黒山は全日本の際の集中力あふれる走りとはほど遠かったが、2ラップ目に持ち直してこのポジション。「ヤマハエンジンのトップになりたい」という当初の目標は達成した。序盤は絶好調だった野崎史高は、後半にテープを切るなどのミスが目立って10位。フレイシャ、オリベラスをはさんで、13位に渋谷勲。渋谷は昨年のポイントランカーなのに、なぜか世界選手権組のトップスタートとなり、ラインのないセクションに苦しんだが、2ラップ目に本来の実力を垣間見せてこのポジションに滑り込んだ。小川毅士は強豪の日本勢に押し出されるように16位と無得点。田中太一は2ラップ目序盤に負傷を喫したようで、前半の好調をふいにしたばかりか、全日本シーズンの後半も心配される結果となった。
世界選手権 | ||||||||
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Pos. | Rider | Nation | Machine | Lap1 | Lap2 | Time | Total | Clean |
1 | トニー・ボウ | SPA | Montesa | 1 | 5 | 0 | 6 | 28 |
2 | アダム・ラガ | SPA | GasGas | 4 | 7 | 0 | 11 | 24 |
3 | 藤波貴久 | JPN | Montesa | 22 | 20 | 0 | 42 | 16 |
4 | アルベルト・カベスタニー | SPA | Sherco | 26 | 17 | 0 | 43 | 16 |
5 | ジェロニ・ファハルド | SPA | Beta | 24 | 30 | 0 | 54 | 13 |
6 | ドギー・ランプキン | GBR | Montesa | 23 | 33 | 7 | 63 | 14 |
7 | ジェイムス・ダビル | GBR | Montesa | 33 | 36 | 0 | 69 | 7 |
8 | 小川友幸 | JPN | Honda | 38 | 34 | 0 | 72 | 8 |
9 | 黒山健一 | JPN | Yamaha | 50 | 28 | 0 | 78 | 6 |
10 | 野崎史高 | JPN | Yamaha | 42 | 45 | 0 | 87 | 7 |
11 | マルク・フレイシャ | SPA | Scorpa | 48 | 40 | 0 | 88 | 6 |
12 | ダニエル・オリベラス | SPA | Sherco4T | 47 | 52 | 0 | 99 | 7 |
13 | 渋谷勲 | JPN | Beta | 58 | 41 | 0 | 99 | 2 |
14 | クリストフ・ブルオン | FRA | Sherco4T | 53 | 57 | 0 | 110 | 1 |
15 | ジェローム・ベシュン | FRA | Beta | 62 | 50 | 0 | 112 | 2 |
16 | 小川毅士 | JPN | Montesa | 59 | 54 | 0 | 113 | 2 |
17 | ダニエレ・マウリノ | ITA | Beta | 59 | 55 | 0 | 114 | 2 |
18 | 田中太一 | JPN | Honda | 48 | 68 | 0 | 116 | 4 |
19 | 井内将太郎 | JPN | Beta | 66 | 65 | 0 | 131 | 0 |
20 | フランチェスコ・イオリタ | ITA | Sherco | 70 | 63 | 0 | 133 | 1 |
21 | 坂田匠太 | JPN | GasGas | 71 | 66 | 0 | 137 | 0 |
22 | 宮崎航 | JPN | Beta | 73 | 69 | 0 | 142 | 0 |
23 | 砂田真彦 | JPN | Honda | 71 | 71 | 0 | 142 | 0 |
24 | 小森文彦 | JPN | Honda | 73 | 70 | 0 | 143 | 0 |
25 | 岡村将敏 | JPN | Scorpa | 75 | 69 | 0 | 144 | 0 |
26 | 竹屋健二 | JPN | Honda | 73 | 71 | 0 | 144 | 0 |
27 | 西元良太 | JPN | Scorpa | 73 | 71 | 0 | 144 | 0 |
ワールドカップ・ジュニア | |||||
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Pos. | Rider | Nation | Machine | Total | Clean |
1 | マイケル・ブラウン | GBR | Beta | 10 | 26 |
2 | アレックス・ウイグ | GBR | GasGas | 13 | 24 |
3 | マテオ・グラッタローラ | ITA | Sherco | 33 | 17 |
4 | ロリス・グビアン | FRA | Sherco | 39 | 17 |
5 | ニコラス・ゴンタール | FRA | GasGas | 42 | 16 |
6 | サム・ハスラム | GBR | Scorpa | 42 | 15 |
7 | ライア・サンツ | SPA | Montesa | 64 | 8 |
8 | 柴田暁 | JPN | Honda | 70 | 10 |
9 | 斎藤晶夫 | JPN | Honda | 75 | 6 |
10 | 野本佳章 | JPN | Beta | 80 | 6 |
11 | 永久保恭平 | JPN | Sherco | 94 | 0 |
ユース125 | |||||
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Pos. | Rider | Nation | Machine | Total | Clean |
1 | アルフレッド・ゴメス | SPA | GasGas | 11 | 23 |
2 | ロス・ダンビー | GBR | GasGas | 21 | 20 |
3 | アレクシ・セルバンテス | FRA | Sherco | 47 | 16 |
4 | マリヤン・グリーベル | GER | Future | 85 | 5 |