7月9日〜10日、世界選手権イタリア大会は、2日制にて開催。
1日目は1ラップ目トップの藤波貴久を、アダム・ラガが驚異的な走りで逆転して勝利。連勝記録を「4」に伸ばした。
2日目、藤波はアメリカ大会以来の優勝。ラガは4位で、この週末、藤波はラガとのポイント差を4点縮めた。
アルベルト・カベスタニーは大乱調。日曜日の9位で、藤波にランキング2位の座をとり戻されている。
【土曜日】
2ラップ目、驚異の走りでラガの勝利
異常に暑かったフランス大会から一転、北イタリアのバルボンディオーネ(ベルガモ州)では、自然のトライアルが戻ってきた。雨、滑りやすい岩。インドアセクションはひとつもなかった。
15のセクションは谷あいに作られ、どれもスタート会場に近く設営されていた。金曜日に下見がおこなわれたときには、セクションは簡単めに見えた。しかしオーガナイザーは天気の崩れを予測していたのだ。
土曜日、試合の8割方は、そんなにひどくない雨の中でおこなわれた。トップライダーは、いつものように正確な闘いを繰り広げる。結果的には神経戦とも思えるが、ぎりぎりの戦いの結果のクリーン合戦だから、けっしてセクションがやさしいわけではない。
第2セクションはだれも走破ができなかった。最初の勝負どころは第6セクション。深いロックステップがセクションの最後にあって、ライダーをたたき返していた。最初に登ったのはフレイシャ。ランプキンは頂点に届かず跳ね返された。藤波、ラガ、カベスタニーは1点でここを切り抜けている。
もう一つ、不可能に思えたセクションが、第9セクションだった。直角の岩の後、短い加速から次の岩に駆け登る。しかもとても滑る。これも、1ラップめには誰も成功しなかったセクションだ。
ランプキンの不運は、フランスに続いて、この日も続いていたのか、それは11セクションでのことだった。ランプキンのフロントホイールは、わずかにテープを越えてしまい、5点となった。その後ランプキンは、大きな滝の15セクションでも失敗している。29点という減点では、6位が精いっぱいだ。
1ラップ目を終えて、藤波がとてもよいスコアをマークしていた。藤波は5連続クリーンをして、16点で1ラップ目のリーダーとなった。ラガは藤波を追う19点。さらにカベスタニーが1点差で続いた。
4位は、もうこいつがこの位置にいても誰も驚かない。トニー・ボウがフレイシャと同点で24点となっていた。
2ラップ目。第2セクションはキャンセルされた。誰も走破ができないという判断だ。逆に第9セクションは競技が続けられ、何人かがここを攻略していった。
そして藤波は、またしても勝てなかった。ラガが2ラップめに、抜群の走りを見せたのだ。まったく、ラガの2ラップ目は魔法のようだった。その減点は、たったの5点だ。大きな勝利だった。ラガは、これでランキングリードをさらに広げることに成功した。
藤波は、それでも2位をキープ。カベスタニーとはわずか1点差。父親になって10日目のランプキンは4位に甘んじた。
雨宿りする場所もない悪条件の中、5000人の観客が訪れていた。
すべてのセクションは2km圏内に設けられていて、試合を追うのは、誰にもたいへん簡単だったという、よい大会だった。
【日曜日】
藤波、タイトルへの執念で勝利を取りもどす
日曜日に向けて、4つのセクションが設定変更を受けた。競技をより簡単にするのが目的だったが、充分とはいえなかった。強い雨が上がり、ライダーが通過した後は、岩はどろどろになってしまっていたのだった。
第2セクションはモディファイされ、多くのライダーがここを走破していった。しかしクリーンしたのは藤波だけだった。しかし藤波は、第4セクションで5点となっている。
トップライダーは、1ラップめには、みなそれぞれ別のセクションで5点の失点を喫している。例外はフレイシャで、トップライダーの流れとは別に、調子よく試合を進めていた。しかし10セクション以降、事情がちがってきた。第10セクションで5点となり、最後の岩がむずかしく滑りまくる13セクションで再び5点となり、最終セクションの滝でまた5点となった。
これで、フレイシャは1ラップ目のトップをファハルドに譲ってしまったのだった。
ファハルドの1ラップ目のスコアは21点だった。
フレイシャはファハルドに遅れること1点。
本命だったはずのラガは4つの5点で28点。なんと6位につけている。
藤波は3位。フレイシャに1点差と接戦だ。
ランプキンは藤波に続いて4位、26点。ボウが27点と続いている。
カベスタニーはラガに続いて29点。
2ラップ目、雨が降れば岩の泥を洗い流してくれる。それから太陽が照らせば、むずかしかったセクションを多少は容易にしてくれる。
2ラップ目は、どのライダーもスコアをあげてきた。
ベストスコアは藤波だった。藤波のこの日の失敗は10セクションだけといっていい。10セクションだけ、藤波は2ラップとも5点となった。
2ラップ目のトータルは10点。藤波を勝利に押し上げるには充分の、素晴らしい成績だ。
ファハルドはランプキンとの接戦を制して2位を守った。
ランプキンは2ラップめにたった2個の5点で11点をマークしたが、3位止まりだった。
ラガは、2ラップめにやや回復を見せた。2ラップ目の減点は13点。そして、4位のポジションを得た。
観客は土曜日よりも増えて1万人とカウントされた。
ジェームス・ダビルとダニエル・オリベラスはこの大会で、それぞれジュニアカップとユース125のチャンピオンを決定した。4戦(3大会)を残しての栄冠だった。
黒山健一はまたも両日ともに7位。渋谷勲が、日曜日に12位となって、少しずつ本領を発揮しはじめた。野崎史高は両日ともに14位。確実にポイントは獲得しているが、もうちょっと上を狙っているだけに、くやしい結果となっている。
イタリア大会結果
土曜日 | |||||
順位 | ライダー | 1ラップ | 2ラップ | 総減点 | クリーン |
---|---|---|---|---|---|
1 | Adam Raga | 19 | 5 | 24 | 18 |
2 | 藤波 貴久 | 16 | 17 | 33 | 16 |
3 | Albert Cabestany | 20 | 14 | 34 | 15 |
4 | Dougie Lampkin | 29 | 15 | 44 | 15 |
5 | Toni Bou | 24 | 26 | 50 | 13 |
6 | Marc Freixa | 24 | 29 | 53 | 12 |
7 | 黒山 健一 | 40 | 25 | 65 | 8 |
8 | Graham Jarvis | 41 | 27 | 68 | 7 |
9 | Jeroni Fajardo | 42 | 31 | 73 | 13 |
10 | Tadeusz Blazusiak | 49 | 39 | 88 | 7 |
11 | Jordi Pascuet | 45 | 45 | 90 | 7 |
12 | Shaun Morris | 52 | 39 | 91 | 7 |
13 | Daniele Maurino | 57 | 36 | 93 | 5 |
14 | 野崎 史高 | 51 | 43 | 94 | 5 |
15 | 渋谷 勲 | 54 | 41 | 95 | 7 |
参加:26台 |
日曜日 | |||||
順位 | ライダー | 1ラップ | 2ラップ | 総減点 | クリーン |
---|---|---|---|---|---|
1 | 藤波 貴久 | 23 | 10 | 33 | 18 |
2 | Jeroni Fajardo | 21 | 15 | 36 | 15 |
3 | Dougie Lampkin | 26 | 11 | 37 | 17 |
4 | Adam Raga | 28 | 13 | 41 | 15 |
5 | Antonio Bou | 27 | 18 | 45 | 14 |
6 | Marc Freixa | 22 | 27 | 49 | 12 |
7 | 黒山 健一 | 33 | 28 | 61 | 11 |
8 | Graham Jarvis | 31 | 33 | 64 | 11 |
9 | Albert Cabestany | 29 | 36 | 65 | 8 |
10 | Tadeusz Blazusiak | 52 | 41 | 93 | 4 |
11 | Jordi Pascuet | 49 | 48 | 97 | 6 |
12 | 渋谷 勲 | 55 | 42 | 97 | 4 |
13 | Shaun Morris | 48 | 51 | 99 | 6 |
14 | 野崎 史高 | 49 | 51 | 100 | 8 |
15 | Dario Delle Re Gandine | 47 | 56 | 103 | 6 |
参加:26台 |
ランキング | |||
1 | Adam Raga | 182 | 5勝 |
2 | 藤波 貴久 | 165 | 3勝 |
3 | Albert Cabestany | 163 | 1勝 |
4 | Dougie Lampkin | 153 | 2勝 |
5 | Antonio Bou | 125 | |
6 | Marc Freixa | 121 | |
7 | 黒山 健一 | 95 | |
8 | Graham Jarvis | 92 | |
9 | Jeroni Fajardo | 76 | |
10 | Jordi Pascuet | 61 | |
11 | Tadeusz Blazusiak | 59 | |
12 | 野崎 史高 | 47 | |
13 | Sam Connor | 23 | |
14 | Shaun Morris | 16 | |
15 | 渋谷 勲 | 13 | |
16 | 田中 太一 | 12 | |
17 | Jerome Bethune | 9 | |
18 | 小川 友幸 | 7 |