春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

ボウ、連続タイトル

08マドリッドのボウ

 インドアトライアル世界選手権は、3月15日、スペインのマドリッドで最終戦がおこなわれ、2008年の全5戦が終了した(当初の予定は6戦だったが1戦キャンセルとなった)。
 7500人のお客さんを集めた最終戦は、2007年チャンピオンのトニー・ボウ(モンテッサ)がライバルを押さえて快勝し、2年連続のインドア世界チャンピオンに輝いた。ボウは5戦中4勝の圧勝だった。
 2位はアルベルト・カベスタニー(シェルコ)、3位はアダム・ラガ(ガスガス)。この結果、ランキングでは両者が同点となったが、1勝をあげたラガが2位となっている。
 藤波貴久は4位で、ランキングも4位となった。

08マドリッドのトニーの走り

 ボウには、プレッシャーというものは存在しないのだろうか。逆に、すでにタイトルの望みのないラガ(ボウがクォリファイに出走した時点で、ボウのチャンピオンは決定した)にプレッシャーすら与える勢いのライディング。10分の持ち時間を2秒超過してのタイムオーバー(ヨーロッパでは、10分間の持ち時間は10分00秒の時点で切られるのではなく、11分00秒以前までと数える。日本人には理解できないけど、これがヨーロッパの趨勢です)と1点がふたつ、2点がひとつという、ほぼ完璧なスコアでファイナルに進出。

08マドリッドのラガ

 チャンピオン争いが絶望的となり、しかしまだランキング2位争いの渦中にいるラガは、第1セクションから5点をとるなどちょっと不幸な滑り出し。しかし最初と最後で5点をとった以外はこちらも完璧なトライ。第1セクションをボウと同じく2点に抑えていたら、最終セクションで5点となってもボウと同点だったという好結果だった。
 ファイナル進出の最後のキップを争ったのが、アルベルト・カベスタニーと藤波貴久。このふたりは5点の差を持ってランキング4位争いの真っ最中。しかしインドアで5点のポイントをひっくり返すのは容易ではない。藤波が優勝するとしたら(10点加算)カベスタニーが4位以下でなければならず、藤波が2位ならカベスタニーは最下位でなければいけないという状況。しかし藤波にしても、あきらめるわけにはいかない。

08マドリッドのカベス

 8つのオブザーブドセクションを、カベスタニーは17点で終了した。対して藤波は13点! ラガに劣ること1点の好結果だ。しかしこれに費やした時間が11分42秒。タイムオーバーは2点となった。
 ハプニングはこのあとおこなわれたハイジャンプ。オートバイの高飛びである。カベスタニーはすべてのバーを落とさずここまでの小計が17点。ところが藤波は、珍しくバーを落として3点を加算してしまった。ハイジャンプでの減点は、ドギー・ランプキンが5点、インドア世界選手権初挑戦のダニエル・オリベラスが3点と藤波の3点、3人だけだった。この結果、カベスタニーに逆転を許して、17対18で最後の勝負のダブルレーンの戦いとなった。
 ダブルレーンでは、藤波がダッシュ、カベスタニーを抑えて勝利を飾ったが、この勝利でカベスタニーに科せられる減点は1点。18点対18点で同点となった。
 同点の場合、クォリファイラップではオブザーブドセクションでの走行時間の短いものが上位となる。藤波は11分42秒。カベスタニーは減点なしの10分42秒。このタイム差で、カベスタニーのファイナル進出が決まった。ファイナルでカベスタニーが善戦して2位となったので、カベスタニーと藤波の間には8点のポイント差が残ることになった。
 クォリファイを2位で通過したラガは、ファイナルではミスが多く、ボウの追撃などとうてい不可能な走りっぷり。しかし今回3位に入ったことで、カベスタニーの追撃をぎりぎりで退け、ランキング2位を獲得した。両者のポイントは同点。優勝1回の実積を残しているラガが上位につけることになったわけだ。
 5位はすっかり指定席になってしまったジェロニ・ファハルド。6位はこのインドアシーズンではついにいいところがなかったランプキン。そしてがんばったがやはりインドア世界選手権の壁は厚かったオリベラスが7位となって、最終戦は終了した。