トライアルのメッカ、バルセロナ(スペイン)でのインドア世界選手権第2戦は、2月3日に開催。9800人の観衆を前に、3人のインドア世界チャンピオンのし烈な争いが展開された。
そして勝利を得たのは、年末に手に骨折を負っていた、アダム・ラガだった。
ボウの台頭以前、インドアの申し子として、また若手ナンバーワンとしてその繊細なテクニックを誇ったラガだったが、2005年の勝利を最後に、この2年はバルセロナでの勝利から遠ざかっていた。トライアル関係者が一堂に集まるバルセロナでの市中でのインドア大会は、たとえチャンピオンになっていたとしても、勝っておかなければいけない大事な大会なのだ。
●参考資料・世界選手権となってからのバルセロナ大会の成績概略
年 | 1位 | 2位 | 3位 | 藤波 | その年の チャンピオン |
---|---|---|---|---|---|
1998 | ランプキン ベータ |
コロメ モンテッサ |
コリー ガスガス |
不参加 | ランプキン ベータ |
1999 | コロメ モンテッサ |
ランプキン ベータ |
ビルバオ モンテッサ |
不参加 | ランプキン ベータ |
2000 | ランプキン モンテッサ |
コロメ モンテッサ |
コリー ガスガス |
4位 | ランプキン モンテッサ |
2001 | ランプキン モンテッサ |
コロメ ガスガス |
カベスタニー ベータ |
4位 | ランプキン モンテッサ |
2002 | ラガ ガスガス |
フレイシャ シェルコ |
ランプキン モンテッサ |
6位 | カベスタニー ベータ |
2003 | ラガ ガスガス |
カベスタニー ベータ |
ランプキン モンテッサ |
6位 | ラガ ガスガス |
2004 | ラガ ガスガス |
フレイシャ シェルコ |
藤波 ホンダ |
3位 | ラガ ガスガス |
2005 | ラガ ガスガス |
カベスタニー シェルコ |
ファハルド ガスガス |
6位 | ラガ ガスガス |
2006 | ボウ ベータ |
カベスタニー シェルコ |
ラガ ガスガス |
4位 | ラガ ガスガス |
2007 | ボウ モンテッサ |
藤波 モンテッサ |
ファハルド ベータ |
2位 | ボウ モンテッサ |
2008 | ラガ ガスガス |
ボウ モンテッサ |
カベスタニー シェルコ |
4位 | ??? |
1ラップ目(クォリファイ)、完璧なのはボウだった。ほかのすべてのライダーがクリーンしている第2セクションで1点をつくという愛嬌のような減点をとった以外、ボウはすべてのセクションをクリーンした。そのままスピードレースでもラガに勝って、ぶっちぎりのファイナル進出となった。
スピードレースでボウと一騎打ちとなったラガは、8つのオブザーブドセクションを2点で終了している。バルセロナで勝利するという意欲は並々ならぬものがあったか、スピードレースでちょっと張り切りすぎた。結果論では、スピードレースでボウに勝手もタイム差でクォリファイ2位は変わらなかったのだが、ラガはスピードレースで痛恨の5点となってしまっている。
3位はカベスタニー。藤波は、カベスタニーに9点差で4位。上がれば天国、落ちればさようならのセクションばかりだったから、インドア慣れ、そしてセクション慣れ(インドアのセクションは、スペイン国内では同じ素材を持ち回りしていることが多い)しているスペイン勢に対し、スペインに住んでいるとはいえ、インドアスペイン選手権に出場するチャンスのない藤波にとっては、大きなハンディがあるのは否めない。
5位ファハルドは、ワイルドカードからの参加で、藤波に迫る点数でよくがんばっている。5位ランプキンは、前回よりもひとつ順位を上げた。今は成績うんぬんより、久々のベータ(そして初めてのREV-3)にどう慣れていくかが重要課題なのだろう。
ファイナルでは、ラガの健闘が光った。ダブルレーンが行われた中盤までは、ボウがひとり抜きんでていたが、中盤以降のラガの粘りはすごかった。ラガのプレッシャーに負けて勝利を逃してしまったと、試合後にボウはコメントしている。
チャンピオンシップは、いまだボウがリード。しかし2点差でラガ、さらに2点差でカベスタニー、これに4点差で藤波というトップ4のオーダーだ。
再びトップの座に戻ってきたラガ。進境著しいボウに対して、その実力をどうぶつけてくるのか、ファンのみならず、ラガ本人も、これからを楽しみにしているちがいない。
次回第3戦のグラナダ大会は、当初2月9日開催予定だったが、10日日曜日に予定変更となっている。
クォリファイラップ
1.トニー・ボウ 1点
2.アダム・ラガ 7点
3.アルベルト・カベスタニー 7点
4.藤波貴久 16点
5.ジェロニ・ファハルド 18点
7.ドギー・ランプキン 25点
6.ジェイムス・ダビル 22点
ファイナル
1.アダム・ラガ 15点
2.トニー・ボウ 18点
3.アルベルト・カベスタニー 32点
ランキング
1.トニー・ボウ 18点
2.アダム・ラガ 16点
3.アルベルト・カベスタニー 14点
4.藤波貴久 10点
5.ジェロニ・ファハルド 8点
6.ドギー・ランプキン 6点
7.ジェイムス・ダビル 4点
8.ジェローム・ベシュン 1点