春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

2024SSDT、その6日間

SSDT(スコティッシュ6日間トライアル、スコティッシュ・シックス・デイズ・トライアル)は、5月6日(月曜日)から5月11日(土曜日)までタイトル通り6日間にわたって開催された。

昨年まで14年間のうちに11回勝利と圧倒的強さを誇っていたドギー・ランプキンだが、今年は超悪天候の木曜日にらしくない減点25点を喫して後退、追い上げもままならなかった。

初勝利を飾ったのはジャック・プライス。プライスはトライアルGPクラスを走っていたイギリスのトップライダーだったが、2020年を最後にトライアルGPからは退いている。それでも、ランプキンやジェイムス・ダビルと同様、イギリス人はSSDT出場は欠かさない。SSDT勝利はイギリス人にとっては世界チャンピオンと同等の価値ありとされている。今回の勝利はプライス一世に一大の大偉業となった。

優勝したジャック・プライス。ブリストやファーレなどの姿も見える。Photo:todotrial
No.ライダーお国マシンDay1Day2Day3Day4Day5Day6順位
124ジャック・プライスイングランドシェルコ1491717181
186ジャック・ピースイングランドシェルコ1461920212
78ハリー・ヘミングウェイイングランドベータ510102021223
129トビー・マーチンイングランドモンテッサ413182425254
187ダン・ピースイングランドシェルコ1332020265
31リチャード・サドラーイングランドヴェルティゴ911162528296
163ドギー・ランプキンイングランドヴェルティゴ5773232357
123マイケル・ブラウンイングランドモンテッサ811132932368
75ビリー・グリーンイングランドスコルパ16323242424210
177ジェイムス・ダビルイングランドスコルパ6161943444611
36アルナウ・ファーレスペインシェルコ15171835414712
208ギャリー・マクドナルドスコットランドスコルパ471033404914
93ハリー・ターナーイングランドシェルコ9202438454913
29ダン・ソープイングランドガスガス6171830425015
268アレックス・ウイッグイングランドガスガス6152546495417
96ジェイムス・フライイングランドシェルコ13364157676821
270ベン・デグナンスコットランドモンテッサ11202555597424
162アルフィー・ランプキンイングランドヴェルティゴ16233363718027
82ベン・ヘミングウェイイングランドベータ26444866758229
126アモス・ビルバオスペインモンテッサ11375477859031
178ブノア・ダニクールフランスヴェルティゴ10162882909432
94エマ・ブリストイングランドシェルコ2064729710912743
237ライア・サンツスペインガスガス23546710111813146
39アリス・ミンタイングランドスコルパ34678412513715057
80ダン・ヘミングウェイイングランドベータ24677710813115859
170ジリ・スボーダチェコスコルパ31547613614516562
152エミル・マシューベルギーヴェルティゴ23558515816617264
108アリシア・ロビンソンイングランドベータ52114172241291323133
67ダニエル・サントスガテマラシェルコ108225318436530612253
153クリストフ・ランドリーフランスベータ219335469595710818264

この表は、何人かの6日間のスコアを並べてみた。トップ10、週末に開催される日本GPに関連する何人か、完走最下位の人、唯一ガテマラ国籍の人などが並んでいる。

ジャックとダンのピース兄弟は、トライアル2のトップライダー。二人とも、あと一歩でチャンピオンという十席を残している。リチャード・サドラーというライダーはすいませんなじみがないけど、マイケル・ブラウンはもてぎの最終セクションで負ったケガの影響でトライアルGPを引退したライダー。ビリー・グリーンは125、T2の両タイトルを持っている。ジェイムス・ダビルはまだ覚えている人も多いと思うけど、日本が好きなイギリスのトップライダー。3回のSSDT勝利記録がある。アルナウ・ファーレは日本でスクールを開催したこともあるスペイン人で、今回のナンバーワン外国人。ギャリー・マクドナルドは地元スコットランドのトップライダーで、長年にわたりSSDTトップを維持している。ハリー・ターナーは19歳のイギリス人、ダン・ソープはランプキンと同世代で、お父さんもSSDTの常連だった二世ライダー。アレックス・ウイグは2014年に日本GPにひとりでやってきて、リュックを背負ってマインダーなしでGPクラスを戦った姿が印象深い。ジェイムス・フライは、ライダーとしての実績はあんまりないけど、エマ・ブリストの夫氏。イギリス人の中堅ライダーは、これくらいは走る、ということなのか、日本人がこの成績を越えるのは、過去の実績を見ても、なかなかむずかしい。ベン・デグナンは現役T2参戦のスコットランド人。アルフィー・ランプキンは、ドギーの息子、日本GPには、もちろんライダーとして、父ドギーをマインダーとして参戦する。ベン・ヘミングウェイはハリー・ヘミングウェイのおじさんで、たぶん今年もFIMの役員として来日するはず。ドギーのマインダーを務めたこともあるし、イギリス代表としてTDNで優勝したこともある。アモス・ビルバオはジョルディ・タレス時代のトップライダー、SSDTでは優勝経験もある。ブノア・ダニクールはフランス人で、FIMの仕事をしていたこともある。イギリス人以外がSSDTで好結果を出すのは、なかなかむずかしい。そしてエマ・ブリスト、ライア・サンツと女王対決。中盤ではサンツのほうがちょっと上位にいたが、最後はイギリス人の意地を見せてブリストが上位にでた。アリス・ミンタ、アリシア・ロビンソンも日本GPの女子GPクラスに参戦する。ダン・ヘミングウェイはハリーの父で、ベンのお兄さん。ジリ・スボーダはチェコのトップライダーで、ダビルやアダム・ラガのマインダーを務めたこともある。

最下位として表に登場してもらったランドリーさんは日々数百点の減点をとっているが、タイムオーバーこそあれど、全セクションに挑みきっちり完走している。セクション見落としの失格やタイムオーバー失格が多い中、この最下位はなかなか立派だといえる。

そんな中を、トップライダーは1日30セクションをオールクリーンに近いスコアで勝負していく。イギリス人の精神力は、SSDTで鍛え上げられているのかもしれない。