春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

Xトライアル開幕



FIM-LIVEの開幕戦。かっこいいです

 2011年シーズンが早くもスタートした。インドアトライアル世界選手権あらためXトライアル。第1戦は2010年11月27日にイタリア・ジェノバで開催され、今年も、トニー・ボウが他ライダーを頭ひとつ抜き出るかっこうで勝利した。
 藤波貴久は、またも惜しいところでファイナル進出を逃し、セミファイナルでの5位となっている。


 今年からXトライアルと呼称されるようになったインドア世界選手権。インドア、アウトドアという呼び方は限定的だし、アウトドアの世界選手権でも最終セクションがインドアのこともあったし(藤波がチャンピオンとなった2004年スイス大会はそうだった)呼称が長たらしくなってかっこ悪いというのもあったから、Xトライアルという呼び方になってシンプルかつ、内容をより的確に表現する名称になった。
 試合の流れは、これまでと大きくは変わらない。ノミネートされているライダーは8人。トニー・ボウ、アルベルト・カベスタニー、アダム・ラガ、ジェイムス・ダビル、ジェロニ・ファハルド、藤波貴久(去年のランキング上位の6人)。これにマイケル・ブラウン(昨年ランキング11位)、ジャック・チャロナー(ジュニアチャンピオン)がいつものメンバーとして選ばれた。これに、大会によってワイルドカードが加わる。今回は地元イタリアのフランチェスコ・イオリタが仲間入りした。
 最初に、いくつかのセクションを使ってクォリファイ(いわば予選)がおこなわれる。これで上位6人が選ばれる。ここまでは、大海によっては非公開となることもある。クォリファイで敗退した選手は、テレビ中継にも映らない、かわいそうな存在となってしまう。クォリファイの減点はここで一回クリアされて、以後の試合展開には、原則としてクォリファイの結果は影響しない。ただし同点となって決着がつかなかった場合は、クォリファイでの順位。クォリファイで同点だった場合はタイブレークがおこなわれ、それでも勝負がつかなかった場合は、そのセクションの走破タイムによって順列がつけられる。
 クォリファイを勝ち進んだ6人は、セミファイナルに進む。セミファイナルは、1対1で競走するダブルレーンといくつかのオブザーブドセクションでおこなわれる。ダブルレーンでは、足をついた数や転倒の減点はそのままで、勝利すると減点ゼロ、負けると減点1が追加される。去年は負けた場合の減点が2点だったりしたが、この点は多少の試行錯誤がある。セミファイナルでは、6人から4人に絞られ、この4人がファイナルを走る。
 ファイナルでは、ダブルレーンが総当たり制となる。セミファイナルでは、1位と6位、2位と5位、3位と4位が勝負をしていたが、今度は4人が他の3人ともれなく戦う。ダブルレーンが6回見られるわけだ。そのあとオブザーブドセクションが3つ。4人が3つずつ走るから、ライダーがセクションを走るのはのべ12回。ダブルレーン6回とセクション12回は、Xトライアルの構成としては言いバランス、なのかもしれない。ただしこれは異論の多いところだ。
 クォリファイでは、ボウ、カベスタニー、ラガと藤波の4人がオールクリーンをした。ファハルドとダビルが減点をしながらセミファイナルに進出した。
 セミファイナルでは、まずダブルレーン。ボウとダビルの勝負はボウの勝ち。やはり、まだまだダビルとボウではまだ勝負にならない。ラガとファハルドはファハルドの勝ち。このへんになると、勝負は時の運ということになる。クォリファイでは2位と5位のふたりだが、ここで一転、ファハルドが試合を有利に進めることになった。このどんでん返しが、Xトライアルの醍醐味であったり、問題点であったりする。カベスタニーと藤波は、カベスタニーが勝利した。スピードを競うダブルレーンは藤波の得意勝負だったのだが、最近、藤波はダブルレーンで負けることが多くなった。そして、これが勝敗にも影響を与えてしまっている。
 オブザーブドセクションは、難度を高めたセクションに、5点かクリーンかの勝負となる。こんな中、みんなが5点の第2セクションでボウが1点。これで、ボウはひとり優位になった。第3セクションでは全員がクリーン。ここまでの減点は、ボウが5点、カベスタニーとファハルドが10点、藤波とラガが11点だ。5点かクリーンで、みな同じ失敗と成功をするから、優劣は最初のダブルレーンと、最終的にはクォリファイで速かった者ということになる。クォリファイでは、ボウ、ラガ、カベスタニー、藤波の順となっている。ダビルは第3で減点していて、すでにファイナル進出の権利を失っていた。
 5人が第4セクションをクリーンしたとすると、藤波がひとりセミファイナル敗退ということになる。なんとなく釈然としないが、ルールだからしかたがない。しかし藤波は、マシントラブルに見舞われてしまった。ハンドルが緩んで動いてしまうというトラブル。もちろん整備不良など考えられないから、想定以上の負荷がかかったということなのだろうが、これで藤波は2点減点をとってしまって、自らファイナル進出を逃すことになった。
 ファイナルでは、ファハルドが3回のダブルレーンで2回5点となり(5点となった場合はレース敗退の減点はつかないようだ)、これで上位進出は絶望的。ダブルレーンでは、ボウとラガが1点、カベスタニーが2点の減点を献上した。カベスタニーは、足をつきながらボウに勝利するという技を見せた。この技を使うと、勝ったほうも負けたほうも1点減点となるわけだ。
 3セクションによる最後の勝負は、ボウが3点、カベスタニーがオールクリーン、ラガが2点、ファハルドが7点で走り抜けた。ファイナルではカベスタニーがクリーンを連発して追い上げることで盛り上がった。ファイナルのこの減点に、ファイナルのダブルレーン、セミファイナルでの減点をトータルして、最終結果が出る。ボウが9点、2位は12点のカベスタニー、ラガが14点で3位。ベータでの最後のレースとなったファハルドは28点で4位となった。
 ランキングポイントは、アウトドアの選手権とはちがう点数配分になる。10人弱しか参加しない大会だからだろう。1位には20点、2位15点、3位12点、4位9点、5位6点、6位5点、7位3点、8位2点、9位1点、10位も1点。ファイナルに進出すると得点が高く、勝つとうんと得点がもらえる、という考え方だ。
 今年もボウが強いのか、次の世界戦は1月22日マルセイユになる。ファハルドがオッサ、ダビルがベータ、ブラウンがガスガスと、出場メンバーのマシンががらりと変わった試合となるはずだ。