春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

世界選手権開幕、藤波貴久が勝利!

世界選手権開幕戦はイタリア大会。1日目はトニー・ボウが辛くも勝利。そして2日目、藤波貴久が劇的な勝利。41歳にしての勝利もすごいが、なにより2ラップ目の神がかったライディングは見事だった。

2021WCTイタリアの二人勝利が決まった藤波貴久。破れても藤波が勝ってハッピーなトニー・ボウ

ボウは負傷手術からの病み上がり。トレーニングがまったくできていない状態で、絶好調とは言いがたい。藤波はシーズンオフにじっくりトレーニングを積んで、自信をもっての開幕戦となった。

1日目、ボウはラガの追撃から辛くも逃げ切り、1点差の開幕戦勝利。藤波は、ライディングは悪くなかったものの、それが減点に反映されず、さらに2ラップ目終盤にミスを続けて、5位から7位にポジションを落としてフィニッシュした。

2021WCTイタリアのボウ絶好調にはほど遠いボウだったが、それでも両日ともにいい走りを見せた。

そして2日目、日曜日。藤波には細かい減点があるものの、ライバルはそれぞれどこかで5点を喫して減点を増やしている。そんな中、ボウは第6で5点となった以外、クリーンを連発して、早くも勝利のペースをつかんだかに見えた。

しかし終盤、第11、第12、ふたつのセクションは鬼門だった。藤波も、この2セクションでこの日初めて5点となると、なんとボウもこの両セクションで5点。1ラップ目の減点は藤波が18点、ボウが15点。トップはジェロニ・ファハルドで13点だった。

第1から第10セクションまではクリーン狙い、第11と第12はとにかく最小減点で抜けること。2ラップ目の課題は定まった。しかしどこまでうまくいくものか。

ファハルドは、減点を連発し、5点もあって順位を落としていく。ボウは、1ラップ目同様、クリーンを連発するが、これも1ラップ目同様、第6で5点となった。藤波は第6を1点で抜け、それ以外はすべてクリーンしている。絶好調だ。

2021WCTイタリアの藤波1今回の藤波は神がかっていた。2ラップ目の減点4はこれ以上ないスコアだ。

そして勝負は最後の2セクションでの攻防となった。ここまで、藤波の減点は19点、ボウは20点。ファハルドとラガは28点なので、事実上優勝争いはは藤波とボウに絞られた。

1ラップ目は両方5点になっている藤波は、ここで渾身のトライ。第11を2点、第12を1点で抜ける。この日、この両セクションを続けて5点にならずに抜けてたのは、藤波が初めてだった。そして遅れてやってくるボウやその他ライバルの動向を待つ。

2021WCTイタリアの藤波2カラダのきれもいい。41歳フジガス、まだまだいける!

ファハルドは両セクションを5点。ラガは第11で5点。これで、藤波の2位以上が確定した。残るはボウのトライだ。

ボウは第11セクションで5点。この時点で、ボウのトライの1セクションを残して、藤波の勝利が確定した。ボウは最終セクションも5点で、藤波は8点リードで優勝。藤波の勝利は2016年フランス大会以来で、通算34勝目となった。41歳にしての世界選手権トライアル勝利者の誕生だ。

キレのいい、勝負どころに強い藤波貴久。これは世界チャンピオンをとった、あの頃の再現だと感じていたら、藤波本人も、26歳のときの、2004年のような感じだった、とコメントしていた。

しかし病み上がり、しかも日曜日の大会中に足を少々痛めたボウにとって、2位をキープしているのは上出来で、チームとしても藤波とボウのワンツーは望外の喜び。

藤波とボウ、そしてレプソルHondaチームにとっては最高の開幕戦となった。

2021WCTイタリアの二人表彰台1位と2位の表彰台。すばらしい開幕戦となった。

なお土曜日の朝のPCR検査で陽性反応が出たホルヘ・カサレスは2ラップ目以降の試合参加を断念。症状はないものと報告があるが、今後の状況が気になるところだ。

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