春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

中国大会は黒山が勝利


10中国IAS1位黒山


3戦ぶりに勝利を飾った黒山健一

 全日本選手権第5戦中国大会は、鳥取県鳥取市鹿野町(5年前に鹿野町と村町合併をした)HIROスポーツで9月5日に開催された。
 IAS優勝は黒山健一、IA優勝は山本直樹、IB優勝は宮本竜馬。
●リザルト
 国際A級スーパー
 国際A級
 国際B級
●中継映像はこちら
 (録画が途中でちょんぎれたりどうもクォリティがよろしくないです)


 国際B級が7時半にスタートし、国際A級(A級、A級スーパーとも)は11時からスタートという、他の全日本選手権からすると変則的なスケジュールはここ2年同様。さらに今回は、12セクション2ラップに加え、IASのみ2セクションのSSをおこなうという大会形式となった。
 当日は35度を超える猛暑。ライダーも観客も役員も、暑さ対策を強いられることになった。
 1ラップ目は黒山健一と小川友幸がシーソーゲームでトップ争いを演じ、1ラップ目終了時点ではわずか2点差で黒山がトップ、小川がこれを追いかけていた。しかし2ラップ目、黒山がじわじわと手堅い走りを重ねるようになり、暑さもあって小川がミスを重ねていく。結果、12点差で黒山健一の勝利となった。
 これで、ここまで2勝2敗できた二人は、あらためて同じスタートラインに立った最初の試合。黒山が3点リードで2010年全日本選手権は残り2戦となった。
 3位は野崎史高との戦いを勝ち取った小川毅士。しかしトップ2とはやや離されての表彰台となった。野崎史高はSSのひとつめで5点となったのとタイムオーバー減点がきいて4位。どうにもペースをつかめなかった渋谷勲が5位。しかし今シーズンは、この5人が3位までに入った経験者だ。


10中国IAS2位小川友幸


1ラップ目は黒山にくいさがった小川友幸

 鳥取のHIROスポーツは山深い静かなトライアル場。集落の奥に位置していて、ここにクラス人々の水源地にもなっている。
 今回は小川友幸と黒山健一の一騎撃ちに焦点が集まった。しかもこのふたり、1ラップ目は一歩も譲らずのバトルを繰り広げた。第1セクションで黒山が1点をつくと、小川はここを華麗にクリーン。第2では小川が大岩から滑り落ちて5点。ここを黒山は足つき覚悟、スピードにまかせて登って1点。これで黒山がリードを作ったかと思いきや、第7セクションで黒山が5点となって、その差がなくなった。
 結局1ラップ目は、黒山がわずか2点のリードで折り返すことになった。
 ところがこの日は(というか、この夏はずっとだが)日中の気温が35度を超えようという猛暑。奥の林の中はまだいいのだが、最終セクション付近の日当たりのいいところは強烈な暑さとなった。湿気も高い。1ラップ目後半、この猛暑ですっかり消耗した体力を、2ラップ目にどこまで回復できるかが勝負になった。ここで力強さを発揮したのが、黒山だった。小川は1ラップ目にクリーンしている第1で5点をとると、第6でも5点。1ラップ目にクリーンしていた二つのセクションで5点を取ってしまった。結果的には、この10点がそのまま点差となって、黒山の勝利につながった。
「ここ数年、なかば敵がいないような状況で目標を失いかけていたようなところもあったので、小川さんとこういう戦いができるのは楽しいです。前回、前々回は自分のミスで勝利を逃しているので、今回はたとえ負けることがあっても、後悔しないような走りをして試合を終えたいと思っていました」
 黒山は語る。すべてのライダーが「まいった」と語る暑さについては「ぼくはクーラーもエアコンもないところで暮らしているし、日々の練習も猛暑の中だから、この程度の暑さなら平気」と言い切った。セクション審判員ふたりが熱中症で倒れるという(大事には至らず)暑さの中、ほんとうに平気なのかと心配になるが、それはリザルトが証明しているのかもしれない。

 3位は小川毅士。「デ・ナシオンの代表メンバーとして、表彰台に上らないわけにはいかないと思っていた」と語るが、今回はその思いが通じる結果となった。試合全体を通じてうまくセクションをまとめていた印象もあるが、最後にSSで野崎をふりきったかっこうだ。
 野崎史高は、どうにも結果が出せない。北海道ではあと少しで勝利だったのに、最終セクションで3位に滑り落ちてしまった。今回は第1セクションで5点となって、どうも1日中精彩を欠いたまま終わってしまった。もちろん暑さにやられたという背景もあった。残念。
 渋谷勲は5位。今回はいいところなしで、しかも時間もなくなった。最後にSSが二つ用意されていたのも、二つともエスケープすることになった。
 今回のSSは2ラップ目が終わったらそのままトライするものだったが、時間がなくなった選手はSSをトライするヒマなく、SSの二つ目はほぼ全員がエスケープ。せっかくのSSが盛り上がりなく終わってしまったのは残念だった。
 6位は久々にベテラン田中善弘が柴田暁を制した。8位は宮崎航が初めて入った(8位に入ったらニコンのカメラをプレゼントされるという開幕戦からのチーム内のお約束が、ようやく果たされた。よかったよかった)。9位に、1ラップ目の5点の嵐から復調した西元良太。10位斉藤晶夫、11位野本佳章、12位に近畿大会以来の尾西和博がはいった。


10中国IAS4位野崎


10中国IAS5位渋谷


10中国IAS6位田中善弘


10中国IAS7位柴田


10中国IAS8位宮崎


10中国IAS9位西元


10中国IAS10位斉藤


10中国IAS11位野本


10中国IAS12位尾西


国際A級スーパーの4位から12位まで。4位野崎、5位渋谷、6位田中、7位柴田、8位宮崎、9位西元、10位斉藤、11位野本、12位尾西

■国際A級


10中国IA1位山本直樹


IA優勝の山本直樹

 地元中の地元、このパークで生まれ育ったといっていい山本直樹が、A級昇格1年目にして初優勝を飾った。北海道大会で11位に入り、A級の水にも慣れてきた直樹だったが、今回は大勝利。2位の田中裕人にわずか1点差の勝利だったが、A級1年目にしての勝利は大きなエポックとなった。
「地元以外の大会でも勝てるようになりたい」と本人はいうが、地元とはいえ、勝利は偉大だ。


10中国IA2位田中裕人


10中国IA3位本多元治


IA2位の田中裕人と3位の本多元治

 今回、IAとIASは11時からのスタート。朝がゆっくりなのはよかったが、暑くなってからのスタートとなって、暑さに弱いライダーには大きなハンディとなったかもしれない。それでも、1位の山本以外はベテラン勢が上位を占めてみせた。まだまだ若いものは上へ出させてもらえない。


10中国IA4位佃


10中国IA5位三谷


10中国IA6位永久保


10中国IA7位岡村


10中国IA8位寺沢


10中国IA9位小野


10中国IA10位小谷


10中国IA11位滝口


10中国IA12位成田


10中国IA13位高橋


10中国IA14位徳丸


10中国IA15位砂田


国際A級4位から15位まで。4位佃、5位三谷、6位永久保、7位岡村、8位寺沢、9位小野、10位小谷、11位滝口、12位成田、13位高橋、14位徳丸、15位砂田

■国際B級

 国際B級は、IAとは対照的に、若いライダーが上位を占めた。優勝したのは、往年のチャンピオンヘルメットをかぶった山本昌也が率いるチームアップダウン所属の宮本竜馬。そして2位に入ったのは、その山本昌也とライバル同士だった小谷重夫を父に持つ小谷一貴だった。
 しかしまた、3位はベテラン窪谷貴正。暑い中、スタミナも充分であることを証明して、今後のチャンピオン争いがおもしろくなってきた。窪谷とタイトル争いをしている樋上真司は、今回は4位だった。


10中国IB2位小谷


10中国IB3位窪谷


10中国IB4位樋上


10中国IB5位朝倉


10中国IB6位松本


10中国IB7位遠藤


10中国IB8位平井


10中国IB9位杉木


10中国IB10位岩見.jpg


10中国IB11位広内.jpg


10中国IB12位神部


10中国IB13位藤井


10中国IB14位大神


10中国IB15位木村


国際B級。2位から15位まで。2位小谷、3位窪谷、4位樋上、5位朝倉、6位松本、7位遠藤、8位平井、9位杉木、10位岩見、11位広内、12位神部、13位藤井、14位大神、15位木村