春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

ライア・サンツまずEUチャンプ

ジュニアカップを戦うライア・サンツ

 8月29日、チェコで女子ヨーロッパ選手権が開催された。ここで勝利したライア・サンツは、まず今シーズンのタイトルをひとつ確保。レプソル・モンテッサ・ホンダチームにすれば、トニー・ボウのインドア、アウトドアのタイトルに続き、今シーズン3つ目のタイトル獲得になる。
 ヨーロッパ選手権ランキング2位となったのは、イギリスの新鋭ジョアンヌ・コルレス。打倒ライア・サンツの最右翼だったレベッカ・クックは3位で、ランキングも3位となった。
Photo:Honda


 男子世界選手権は、プライベートのことはあんまり親切に考えていない。今まだ、選手の多くはヨーロッパに住む者たちだが、日本大会やアメリカ大会など、遠方大会への遠征を強いられることも少なくない。
 女子の場合、すんでいる国によって、遠征は遠征だが、スケジュールがコンパクトで、なるべく多くの参加者が集まるようになっている。
 この、女子ヨーロッパ選手権チェコ大会の後には、女子世界選手権チェコ大会がおこなわれる。これは男子世界選手権最終戦チェコ大会の土曜日になる。そしてその6日後、女子世界選手権最終戦はポーランド。トライアル・デ・ナシオン開催の金曜日が、女子世界選手権の試合となる。つまり女性陣は、3週間の東ヨーロッパ遠征旅行をすることで、ヨーロッパ選手権1戦と世界選手権2戦、加えてトライアル・デ・ナシオンに参加することができる(トライアル・デ・ナシオンは国ごとの代表選手が参加するが、代表の選に漏れたものがチームを作って、賞典外として参加するのが通例になっている。現状では、ルールよりも女子トライアルを普及発展させることに力が注がれているのだ)。
 日本勢のデ・ナシオン参加では、その週末に向けて遠征するだけで、事前から出向くことがほとんどない。特に女子ではTDN参加だけで精いっぱいだった。1週間前から参加ができれば、時差ボケの点でも、マシンの不慣れの点でも、ずいぶんハンディが減るし、なによりその1週間、ヨーロッパのトライアル仲間と練習ができる。そういう大きなチャンスがあるのに、日本の代表選手は輪に加われないでいる。残念きわまりない(今年は、女子のTDN参加はできなかったし、最終戦チェコの日は、日本でも全日本中国大会が開催されていた。現実的にむずかしいのは承知で、これを書いている)。今、この瞬間にも、チェコでは世界の女子トライアルライダーが集まって、最終戦に向けて、そしてTDNに向けてトレーニングをしていることだろう。こうやって、世界はどんどん進歩していく。
 諸外国では、日本人は金持ちという印象があるようだけど、遠征費はないし、しかも休みもとれない。世界でも珍しい、とても貧しい国だということが、外国へ行くと、よくわかる。少なくても、気持ちまで貧しくなってしまっては、トライアルがうまくなることも、人生が楽しくなることもないから、気をつけよう。
 さてライア・サンツ。彼女は次の女子世界選手権出タイトルを決めると、自身10回目の世界選手権タイトル獲得となる。2007年には、ほんのひとつのミスでタイトルを失うというにがい経験をしているライア・サンツ。次週、チェコでの女子世界選手権最終戦では、ゆだんないように取り組んでタイトルをとると宣言している。