春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

トニー・ボウ開幕戦に勝利

07スペインのボウ
トニー・ボウ

 4月1日、アウトドアトライアル世界選手権開幕戦は、スペイン南西部のマンチャ・レアルで開催された。スペインといえばからっと晴れた乾いた情景が思い浮かぶが、今回の開幕戦は「ここはイギリスか」というような印象。寒い、暗い、土曜日には雨も降って湿っている。下見の段階から、激しい戦いになることが予想されていた。


 こんな中、土曜日の下見さえできないライダーがいた。藤波貴久だ。藤波はこの週、風邪をひいてしまって絶不調。しかも土曜日の夜に熱も出るという最悪のコンディションになった。薬で熱を抑えるも、当日は頭痛と吐き気に悩まされ、セクションでは力が入らずの状況だった。

トニー・ボウ
表彰台のトニー・ボウ

 藤波が体調不良に苦しんでいるのを尻目に、いいペースでマシンを進めたのが、トニー・ボウだ。モンテッサ入りをしてさっそくインドアチャンピオンとなり、舞台をアウトドアに移してスペイン選手権で2勝し、いよいよ世界選手権に乗り込んできたボウ。今回はゼッケン5番ゆえ、最終スタートのラガとは10分のスタート時間差がある。勝利を狙うには、ややハンディとなる。しかしスタート時間のハンディをものともせず、ボウは好減点をマークしていく。

2位のアダム・ラガ
アダム・ラガ

 ボウに匹敵したのは昨年のチャンピオン、アダム・ラガ。ボウとは1点差ほどで競り合っている。さらにこのふたりに数点差でドギー・ランプキンが続く。藤波も、第9セクションまでは悪くなかった。この時点でトップに3点差、挽回は充分に可能な点差ではあった。ところが藤波は、土曜日に下見をしていないから、セクションがどこにあるのかもわからない。しかも持ち時間が刻一刻と少なくなっていった。満足に下見もできないまま、後半5点が増えていった。1ラップが終わったとき、トップのラガには10点の大差をつけられていた。
 ラガとボウの争いは、2点以上離れることなく、終盤戦まで続けられた。決着が着いたのは、スタジアムセクションの14セクション。ここでラガが失敗。対してボウは1点でここを通過した。そこまで1点のリードをとっていたボウは、この時点で勝利を確定することになった。

開幕戦4位の藤波貴久第3位のランプキン
4位の藤波貴久と
3位のドギー・ランプキン

 藤波は、1ラップを走ってセクションの様子がわかった2ラップ目には減点を13点も減らすことに成功した。これだけ減点を減らしたのはトップ10では藤波だけだが、それだけ1ラップ目の減点が多かったということでもある。
 15セクション2ラップ目を走り終えたとき、3位はランプキンと藤波が同点。クリーン数ふたつの差で、表彰台はランプキンが登ることになった。
 カベスタニーは2ラップ目に調子を落として5位。そして6位には、イタリアのFUTUREトライアルチームに移籍してモンテッサに乗るジェイムス・ダビルが入った。ジェロニ・ファハルド(ベータ2ストローク)、マルク・フレイシャ(スコルパSY250F)といったスペイン勢をさしおいての6位だから、価値がある。
 ベータ4ストロークをデビューさせたジョルディ・パスケットは10位。2ストロークのベータに乗ったジェロニ・ファハルドとたった14点差。少なくとも、パスケットの実力は発揮できた結果といえる。
 他には、シェルコ4ストロークに乗ったダニエル・オリベラスが13位、クリストフ・ブルオンが15位と、ともにポイントを獲得している。いまや、ポイント獲得15位以内に、4ストロークマシンが8台。半分以上が4ストロークという時代になった。
 小川毅士は19位と、今回はまったくいいところがなかった。残念。

 ジュニア選手権はマイケル・ブラウン(イギリス・ベータ)が優勝。2位にはニコラス・ゴンタール(フランス・ガスガス)。3位に、ガスガス125ccに乗るアレックス・ウイグ(イギリス)が入った。ウイグはまだ125ccより大きなマシンに乗る年齢に達していないから、ジュニア選手権に昇格しても、マシンは125ccのままなのだ。ライア・サンツ(スペイン・モンテッサ)は15位と、かろうじてポイントを獲得した。

 ユース125ccはアルフレッド・ゴメス(スペイン・ガスガス)が優勝。アレクシ・セルバンティス(フランス・シェルコ)、ロス・ダンビー(イギリス・ガスガス)と各国の若手ライダーが表彰台に並んだ。

世界選手権結果

Pos. Rider Nation Machine Lap1 Lap2 Time Total
1 トニー・ボウ SPA Montesa 34 24 2 60
2 アダム・ラガ SPA GasGas 35 30 0 65
3 ドギー・ランプキン GBR Montesa 38 39 0 77
4 藤波貴久 JPN Montesa 45 32 0 77
5 アルベルト・カベスタニー SPA Sherco 40 44 0 89
6 ジェイムス・ダビル GBR Montesa 58 50 0 108
7 ジェロニ・ファハルド SPA Beta 56 52 3 111
8 マルク・フレイシャ SPA Scorpa 51 61 0 112
9 ジェローム・ベシュン FRA Beta 60 60 2 122
10 ジョルディ・パスケット SPA Beta4T 67 58 0 125
11 シャウン・モリス GBR GasGas 67 61 0 128
12 タデウス・ブラズシアク POL Beta 64 65 0 129
13 ダニエル・オリベラス SPA Sherco4T 64 64 2 130
14 チャビー・レオン SPA GasGas 68 65 2 135
15 クリストフ・ブルオン FRA Sherco4T 70 67 0 137
19 小川毅士 JPN Montesa 70 73 4 147

ジュニア選手権結果

Pos. Rider Nation Machine Lap1 Lap2 Time Total
1 マイケル・ブラウン GBR Beta 36 31 0 67
2 ニコラス・ゴンタール FRA GasGas 49 45 0 94
3 アレックス・ウイグ GBR GasGas 48 51 0 99
4 サム・ハスラム GBR Scorpa 54 46 0 100
5 ロリス・グビアン FRA Sherco 48 55 0 103
6 リー・サンプソン GBR Sherco 58 47 0 105
7 ギュラーム・ラニエル FRA GasGas 55 55 0 110
8 ジュリエン・アルナウド FRA GasGas 60 53 0 113
9 マテオ・グラッタローラ ITA Sherco 55 59 0 114
10 フレデリック・ヨハンソン SWE GasGas 62 54 0 116
11 アダム・ティガー SWE GasGas 59 63 2 124
12 アンドレア・バカラッティ ITA Montesa 65 58 1 124
13 ピーター・ジールツ NED GasGas 59 67 0 126
14 ヨッヘン・シェファー GER Montesa 66 61 0 127
15 ライア・サンツ SPA Montesa 66 61 0 127

ユース125選手権結果

Pos. Rider Nation Machine Lap1 Lap2 Time Total
1 アルフレッド・ゴメス SPA GasGas 34 24 0 60
2 アレクシ・セルバンテス FRA Sherco 35 30 0 65
3 ロス・ダンビー GBR GasGas 38 39 0 77
4 アドリアン・パストリーザ SPA GasGas 45 32 0 77
5 アントニオ・アルフォンソ SPA GasGas 40 44 0 89
6 ローレント・モレル FRA Beta 58 50 0 108
7 ダビッド・ミラン SPA Sherco 56 52 0 111
8 ポー・ボテラ SPA Beta 51 61 0 112
9 ベノイ・ダニコール FRA Beta 60 60 0 122
10 ティバール・マルテル FRA GasGas 67 58 0 125
11 フレデリック・ラルセン NOR Sherco 67 61 0 128
12 アレクサンドレ・フェラー FRA Beta 64 65 0 129
13 ロバート・アンドリュース IRL GasGas 64 64 0 130
14 エクトル・モリナ SPA GasGas 68 65 0 135
15 トーマス・タンドベルグ NOR GasGas 70 67 0 137