春になったと思ったら、いきなり夏日です。トライアルGP日本大会はちょっとしか暑くなくて、よかったよかった。

トライアル事始

トライアルマシンって、特殊なの?

 昔は、トライアルマシンとほかのジャンルのオートバイとは、そんなに特別ちがうスタイルをしていませんでした。でも今は、性能がどんどんあがってきて、スタイルもトライアルマシンならではのものになっています。
 世の中にはいろんなオートバイがありますが、トライアルマシンの不思議な形は、トライアルに興味がある人でも、やはりかなり違和感のあるもののようです。ましてやトライアルを知らない人にとっては、理解できない形をしている乗り物、としてうつるようです。でもそのすべてが、しっかり意味があるかたちなのです。


 まずシートがないこと。ハンドルがまっすぐで広いこと。細かく見れば、チェンジペダルに足が届かないことなども特殊です。タイヤとエンジンは、これでもかというほどの低速でのグリップ力を発揮します。
 日本製がほとんどないので、みんな輸入車ばかりで、すこし高価なのと、ふだんの足に使えないというところは残念。つまりは、競技用のスペシャルマシンなのです。
 シートがないのは、スポーツの道具として、必要がないからです。マシンを自由にコントロールするため、シートに座らず、フットレストに立ってマシンを操縦します。厚いシートは、ボディアクションをさまたげるので、ついていないのです。反面、シートに座ってどこかに移動する道具としては、使いにくいものになっています。
 広いハンドルバーは、荒れた路面を安定して走れるように、押さえやすい幅になっています。ライダーの好みにより、左右幅は750mm〜820mmとなっています。
 タイヤは、競技では前輪はバイアスタイヤ、後輪はラジアルタイヤを使います。タイヤはゴム質も柔らかく、石などを包み込むようになっています。そして全体も柔らかく、地形に合わせて、変幻自在に形を変えて、グリップ力を生み出しているわけです。
 エンジンは、数値上のパワーはたいしたものではありませんし、トライアルマシンでは、もっとも大きくても300cc程度の排気量なので、ほかのカテゴリーのマシンに比べると、パワフルとは言えません。しかしトライアルマシンのパワーは、ごくごく低速、あるいはスピードがまったくゼロのところから一気に発揮されるので、そのパワフルぶりは誰でもトライアルマシンに触れたとたんに感じることができるでしょう。不用意に発進スタートをしようものなら、いきなりロケットのような加速をしますから、要注意でもあります。
 足の届かないチェンジペダルは、意地悪をしているわけではありません。フットレストに乗せた足で、簡単に操作ができる位置にチェンジペダルがあると、トライアル走行中に、不用意にチェンジ操作をしてしまうおそれがあります。場合によってはこれはたいへん危険なので、わざわざ遠い位置に設定してあります。トライアルでは、ロードレースやモトクロスのような、ひんぱんなギヤチェンジをおこなわないというのも、このチェンジペダルの位置を実現している理由です。
 その他、各部が徹底的に軽量化されていて、スリムですが、これらはトライアル競技に特化した性能の現れです。

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